皮膚は、最大の臓器であり、バリア機能や体温調節機能を担っています。
皮膚は3層構造をしており、皮膚の機能の補佐役として皮膚付属器が存在。
今回は、皮膚の構造に加えて、皮膚付属器の構造や役割を紹介!
それでは、早速見ていきましょう。
Contents
皮膚の3層構造と皮膚付属器
皮膚は、皮下組織を含めると体重の約15〜16%を占める人体最大の臓器。
体重50kgの人の場合、皮下脂肪を含めると約8kgくらいの重さになります。
皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造をしており、これらを貫く形で皮膚付属器が存在。
皮膚付属器というのは、毛器官、脂腺、汗腺、爪など。
皮膚の3層構造と皮膚付属器を詳しく見ていきましょう。
表皮の4層構造
表皮は、下側から順に「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」の4層で構成。
私たちが触れることができるのは、角質層という部分です。
それぞれの層を詳しく見ていきましょう。
基底層
基底層は、表皮の最も最下層に存在し、真皮に最も近い層。
基底層は、基底膜を介して真皮と接しています。
表皮には毛細血管がないので、真皮の毛細血管から基底膜を介して酸素や栄養を補給。
酸素や栄養を補給することで、細胞分裂し、新しい細胞を生み出しています。
基底層は、表皮の中で唯一、細胞分裂能のある細胞が存在する部分。
有棘層
有棘層は、基底層よりも皮膚表面に近いところにある層。
有棘層は表皮を構成する4つの層の中で、最も厚みがあり表皮の大部分を占めます。
5〜10層ほどの有棘細胞が重なっており、有棘細胞上層では水分保持に欠かせない「セラミド」が合成。
顆粒層
顆粒層は、2〜3層の扁平な細胞が重なってできている薄い層。
顆粒層は、脂質を豊富に含んだものを放出し、角質層を構成する細胞間脂質の成分となります。
顆粒層には、小さなビーズのような「ケラトヒアリン顆粒」が存在。
ケラトヒアリン顆粒は、入ってきた紫外線を吸収、反射する作用をもち、体内を保護する働きがあります。
角質層(角層)
角質層は、私たちが普段触れることのできる最も外側の層。
顔などの角質層は15〜25層ですが、手のひらや足の裏では200層以上になることもあります。
角質層は、毎日少しずつ垢として剥がれ落ちています。
角質層の角質細胞は、体内と外界を隔てており、バリア機能という重要な役割が。
バリア機能とは、紫外線や花粉、細菌の侵入を防ぎ、体内の水分蒸発を防ぎ、体内を守る機能のこと。
真皮の3層構造
真皮は、厚さ約1.8mm〜2.0mmほどある皮膚の大部分を占める部分。
コラーゲンなどの膠原繊維を多く含み、肌に弾力と強度を与えます。
真皮は、表皮に近い方から順に「乳頭層」「乳頭下層」「網状層」で構成。
乳頭層
乳頭層は、表皮のすぐ下にある部分で、真皮の最も上の層。
表皮側に波打つように食い込んでおり、毛細血管や神経が密集しているのが特徴。
他にも、知覚神経の末端やコラーゲンなどを生成する線維芽細胞などの様々な細胞成分に富んでいます。
乳頭下層
乳頭下層は、乳頭層の直下に存在する層。
脈管、神経系に富んでいます。
網状層
真皮の大部分を占める層で下の方は、皮下組織に接しています。
網状層は、コラーゲンやエラスチンなどの繊維成分が豊富。
皮膚のハリや弾力を決定づけるのに、非常に重要な層です。
皮下組織(皮下脂肪組織)
皮下組織は、皮膚の最下層に位置し、大部分を皮下脂肪が占めています。
表皮と真皮を支え、筋肉や骨などを外力からクッションのように保護する役割があります。
大部分を占める皮下脂肪は、体温維持やエネルギー貯蔵の役割が。
皮下組織には、太い動脈などが通っており、真皮に栄養や酸素を届け、老廃物を排泄する重要な役割もあります。
主な4つの皮膚付属器
ここでは、主な4つの皮膚付属器について紹介します。
- 毛器官
- 皮脂腺
- 汗腺(エクリン汗腺、アポクリン汗腺)
- 爪
これらの器官は、表皮の一部が変化してできた器官で、体温調節や皮膚の機能のサポートなどを行っています。
毛器官
毛器官は、皮膚が形を変えてできた器官で、毛とそれを包み込み育てる毛包の総称。
毛器官は、唇、手のひら、足の裏、各種の粘膜を除く、全身の皮膚に分布しています。
アポクリン汗腺や脂腺などは、毛包に繋がって開口。
脂腺(皮脂腺)
脂腺(皮脂腺)は、毛孔内部に存在する皮膚付属器。
皮脂を表皮に分泌することで、汗と混ざり天然保湿クリームの「皮脂膜」を形成し、皮膚に潤いを与えます。
皮脂の主成分は「トリグリセリド」「ワックスエステル」「スクワレン」です。
汗腺
汗腺には「エクリン汗腺」「アポクリン汗腺」の2種類が存在。
エクリン汗腺は、唇などの一部を除いた全身に分布しており、交感神経支配を受ける汗腺。
エクリン汗腺から分泌される汗は、ほとんどが水でありpHは5.7〜6.5の弱酸性。
汗によって、皮膚表面が弱酸性に保たれるので、皮膚上での細菌繁殖を抑制。
アポクリン汗腺は、ほぼ全身に分布するエクリン汗腺とは異なり、脇の下やデリケートゾーンなどの特定の部分のみに存在。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、タンパク質や脂質を含み、もともと弱アルカリ性の性質を持ちます。
細菌などはアルカリ性の環境を好んで繁殖するので、弱アルカリ性の汗は、細菌感染しやすい傾向に。
爪
爪は、表皮の角質層が角質化し、硬くなったもの。
【皮膚付属器】構造と役割
皮膚付属器には「毛器官」、皮脂を分泌する「皮脂腺」、汗を分泌する「汗腺」、爪などがあります。
今回は、これら4つの皮膚付属器について構造と役割を見ていきましょう。
毛包
毛包は、毛髪や体毛を産生する組織のこと。
毛根には、毛を新たに作り出す細胞である「毛母細胞」が集合しており、血管が発達しています。
これは、毛が伸びるときに多くの栄養素や酸素を必要とするためです。
毛は、毛母細胞が分裂、増殖する過程で作ったケラチンが集合することでかたくなります。
毛包に付属している脂腺(皮脂腺)によって作られた皮脂は、毛包の中を通って毛穴から分泌。
また、毛包には小さな筋肉の「起毛筋(立毛筋)」がついており、この筋肉が収縮すると毛穴が目立ち「鳥肌」が立ちます。
毛髪
毛髪は、皮膚の一部が変化した皮膚付属器の1つ。
毛髪は、唇などの一部を除き生えていますが、部分によって太さや硬さなどは異なります。
毛髪は硬毛と軟毛に分かれ、これはケラチンの密度などで決まります。
硬毛は、濃くはっきりした毛であり頭髪、腋毛、眉毛などに生えている毛。
それに対して軟毛は、よく見ないとわからないような毛であり背中などに生えている毛のこと。
新生児期、学童期、思春期など、成長に伴って毛髪の質が変わると言われています。
新生児期はうぶ毛だったものが満2歳ごろまでには軟毛になり、6〜12歳ごろの学童期を過ぎた頃には硬毛に。
思春期くらいからは硬毛から軟毛、そしてうぶ毛と新生児期から学童期の逆のルートをたどります。
50歳以降は、徐々に毛根の機能低下や男性ホルモンの影響で抜け毛が増加する傾向に。
毛母細胞の機能が低下し、抜け毛が進行すると「老人性脱毛(加齢性脱毛症)」になります。
日本人の頭髪の本数は、約6万〜12万本と個人差はありますが、平均すると約10万本くらい。
毛髪の伸びるスピードは年齢、部位によって異なり、個人差もありますが1日約0.3mm〜0.4mm、1ヶ月で約1cm。
毛髪は、形状や遺伝、生えている毛包の向きなどにより「直毛(ストレートヘア)」「波状毛(ウェーブヘア)」「綿毛(カーリーヘア)」の3つに分類。
黒色や金色、赤色などといったような髪色がありますが、これは毛髪内部にあるメラニン色素の「種類」や「量」により決まると言われています。
白髪は、メラニンの供給停止によって老化減少の1つですが、遺伝や栄養不足、頭皮の血行不良などによっても起こる可能性が。
健康な人の毛髪表面は、無色透明のうろこ状の「キューティクル(毛小皮)」が規則正しく重なっています。
キューティクルは、カラーやパーマなどの薬剤によって脱落、剥離すると、枝毛や切れ毛の原因に。
ヘアサイクル(毛周期)
毛髪1本1本には寿命が存在し、成長・脱毛・休止を繰り返すサイクルのことを「ヘアサイクル(毛周期)」といいます。
1本の毛髪の寿命があり、その寿命はだいたい5〜8年。
ヘアサイクルは大きく「成長期」「退行期」「休止期」の3つに分けられます。
成長期は、毛髪が伸びる期間をいい、毛髪全体の80~90%がこの状態。
成長期は、約4~7年続きます。
退行期は、成長期が終わるとくる毛髪の成長が止まる期間であり、約2〜3週間継続。
退行期では、毛包が縮み、頭皮の表面に向かって押し上げられます。
その後には休止期という、ゆっくり髪の毛が抜けていく期間に。
毛髪全体の10~15%が休止期。
髪を洗ったときに抜ける毛は、休止期の毛髪であり、だいたい50〜80本くらい抜けていると考えられます。
脂腺(皮脂腺)
脂腺(皮脂腺)は、基本的には毛包に付属しており、皮脂を分泌するところ。
口唇や陰部では、毛包に付属するのではなく、脂腺が皮膚表面に直接開口。
脂腺の大きさや数は部位によって異なり、顔面や頭、胸などは大きくて数が多いです。
逆に腕や足は、脂腺が小さく数も少ないため、顔面や胸などと比較して脂っぽさがありません。
皮脂の量は、部位によっても異なりますが、季節、年齢、性別、ホルモンバランスによっても異なります。
皮脂量は、女性よりも男性の方が、成人よりも新生児期や思春期の方が多い傾向に。
皮脂量は、男性ホルモンの分泌量などが関係しています。
男性ホルモンも皮脂分泌を増加させますが、黄体ホルモンも脂腺を刺激するので皮脂分泌が盛んに。
生理前にニキビや肌荒れが悪化するのは、黄体ホルモンの影響が考えられます。
皮脂の分泌量は、女性では閉経後に急激に減ると言われていますが、男性は年齢を重ねてもそこまで変わりません。
汗腺
汗腺は「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類。
エクリン汗腺は、唇など一部を除き全身に分布しており、特に手のひらや足の裏に多く、発達しています。
総数は平均200万~600万個で、その全ての汗腺が汗を分泌すると仮定すると1時間で1L以上、1日で10Lくらいに。
エクリン汗腺から分泌される汗の成分は、尿を薄めた成分に近く、水分、ナトリウム、乳酸、尿素、アンモニアなど。
エクリン汗腺からの発汗には「温熱性」「精神性」「味覚性」の3つあり、主に体温調節や老廃物排泄の役割があります。
年齢とともにエクリン汗腺が小さくなり、汗の分泌量が減ることは皮脂減少と並び「老人性乾皮症(皮脂欠乏症)」の原因。
アポクリン汗腺は、腋の下や陰部などの特定の部分に分布しており、思春期では汗の量が増加。
アポクリン汗腺から分泌された汗は、無臭。
しかし、汗に含まれる脂質やタンパク質が常在菌と反応することで特有の臭いに変化。
特有の臭いというのが、いわゆる「わきが(腋臭症)」の原因。
爪
爪は、表皮の角質が変化し硬くなった皮膚付属器。
一般的な皮膚とは異なり、ケラチン繊維を含んでいるため硬いのが特徴。
爪は、指先の保護だけでなく、歩行寺の安定性、知覚にも重要な部分です。
皮膚の主な7つの機能
ここでは、皮膚の主な機能を7つ紹介。
- バリア機能
- 温度調節機能(体温調整機能)
- 静菌作用と緩衝作用
- 経皮吸収作用
- 免疫機構の役割
- ボディイメージを形成する役割
- 排泄作用と分泌作用
それぞれ、見ていきましょう。
バリア機能
バリア機能は、紫外線や花粉、細菌などの侵入を防ぎ、体内の水分が外に蒸発しないようにする役割があります。
バリア機能は、最も外側の角質層が担っています。
角質層は、角層細胞と細胞間脂質で構成されており、角層細胞中には保湿成分の「天然保湿因子(NMF)」が存在。
細胞間脂質の主成分は、保湿成分の「セラミド」や「飽和脂肪酸」「コレステロール」など。
肌表面には汗や皮脂が混ざり合うことでできた皮脂膜が存在。
「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質」の3つの因子は、肌の潤いを守り水分が蒸発しないように防いでいる重要な因子です。
温度調節機能(体温調整機能)
皮膚は、運動時や入浴時など暑いときに、汗を分泌させることで体温上昇を防止する働きを持っています。
暑い時は、エクリン汗腺から汗を分泌させますが、寒い時は熱放出を防ぐために血管を収縮。
これによって、体温を一定に保つことができています。
静菌作用と緩衝作用
汗や皮脂が混ざり合うことでできる皮脂膜は、pH4〜6の弱酸性。
多くの細菌や病原菌は、中性〜アルカリ性を好むため、弱酸性の環境では細菌が繁殖しにくいとされています。
石鹸などのアルカリ性物質が皮膚についたとしても、アルカリ中和能で、元の弱酸性状態に戻ります。
これを静菌作用と緩衝作用といい、炎症などの肌トラブルを未然に防止。
経皮吸収作用
皮膚の経皮吸収作用は、角質層の細胞間や細胞内を通る「表皮経路」と毛穴や汗腺などを通る「毛孔経路」が存在。
多くの物質が表皮経路で体内に吸収されます。
免疫機構の役割
皮膚の免疫機構は、細菌やウイルスなどの刺激や侵入から身体を守る働きのこと。
免疫を担う細胞には「ランゲルハンス細胞」「表皮細胞」が存在。
表皮細胞はバリア機能にとどまらず、最前線の免疫担当細胞として活躍。
サイトカインを産生、分泌し免疫細胞に指令を伝える役割があります。
ボディイメージを形成する役割
皮膚は、他の人の目に触れる外見の役割を通じて、健康状態と美しさを表します。
自分のボディイメージを形成するのに重要な役割を担っています。
排泄作用と分泌作用
皮膚は、汗腺から汗として、水分、ナトリウム、尿素などを排泄。
気がつかないうちに水分が蒸発する「不感蒸泄」などにより、体内の老廃物などを外に排泄しています。
まとめ
皮膚付属器には「毛器官」、皮脂を分泌する「皮脂腺」、汗を分泌する「汗腺」、爪などがあります。
この記事では、皮膚付属器とともに皮膚の構造や機能についても紹介しました。
皮膚付属器は、皮膚の保護や保湿、体温調節を行うのに重要な役割を担っています。
この記事が少しでも皆さんのお役に立てていたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。